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【プリリズ】皆が人生の主人公【レインボーライブ】

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プリティーリズム・レインボーライブ 第1話「私はなる!店長にな~る!」 アニメ/動画 - ニコニコ動画

 

実は本作を観終えたのは2ヶ月程前で、下書きも書いていたのですが、なかなかまとまらなかったために今に至りました。

それはそうとプリズム婚、おめでとうございます!

 

 

 

 

 

初めに

 今回はそんな家で暇している時こそ観てほしい

プリティーリズム ボー』です。

やや暗めの話なので最近暗雲立ち込めている現実からの逃避には期待できませんが、あらゆるキャラに寄り添って心動かすのには最適です!

家にひきこもっていては無感情無感動になりがちですからね。

そして観終えたときには「観てよかったな」と思える最高の作品であると断言します!

 

[略称と世界]

AD…オーロラドリーム[第一作目]

DMF…ディアマイフューチャー[第二作目]

――――――――(別世界)――――――――

RL…レインボーライブ[本作]

 

 

 

作品について

ヒューマンドラマ

人はそれぞれ自分が主人公である人生を送っています。そしてその糸が幾重にも重なり、絡み合って出来上がるのが我々が生きる世界というものです。

ですが大抵それを創作物として見る場合、我々は主人公やその仲間のみに注目するため、主要人物のみに人生があるように見えます。

 

言い換えれば、

主要キャラのみが本当にそこに生きているように思えるだけで、サブキャラは主要キャラのキャラクター像を作るいわば舞台装置の1つに過ぎない、というのが大抵の作品によくあることです。

勧善懲悪モノの悪役なんて正に主役を引き立てる道具にしか見えないですよね。

 

ですが本作は違います。

 

この作品においてはモブキャラを除きほぼ全ての登場人物が生きているのです。

各人が自分の人生を生きているのなら当然それぞれに今に影響を与える過去があります。

例えば親友を亡くしていたり、愛する者の愛を充分に受けられなかったり…

普通に観ているとついつい主人公視点に立ってしまい、敵対するものを敵とみなして相手のことを考えようともしなくなりがちですよね。

しかしその相手にもそういう言動をする訳があります。

この作品ではそういった見過ごされがちなキャラの心情を見事に描ききっているのです。

 

だからこそ登場人物の言動1つ1つに思いを馳せながら観ていくことで様々な人の考えや立場、心の変化を理解することができます。

相手の心情を慮るのは現実でも不可欠なことですよね

国語の文章題のように難しいと思ったかもしれませんが問題ありません。

この作品では主役 彩瀬なるの視点に立つだけで大方のキャラの在り方を見通すことができるからです。

 

 

前2作品を踏まえて

まさにプリティーリズム3部作の集大成です。

キンプリの影響とシナリオの良さからこのレインボーライブだけ観たという人も多いようですが、AD、DMFあってこそ最高に楽しめる内容となっています。

また、AD、DMFとはショーの評価方法も異なり、また新たな風を感じられます。

 

AD、DMFは同じ世界の話ですが、今回は全く別の世界の話です。

引き続きプリズムショーが大人気な世界が舞台であり、プリズムジャンププリズムアクトを駆使するのは同じですが

新たにプリズムライブというものが追加されます。加えて今作では特に何連続ジャンプを成功したかが重要となります

というより何回飛んだか以外の評価基準を視聴者が知ることはできません。

そのため、どちらが強いのかが明確で勝敗にも納得がいきやすいようになっていますね。

 

それに監督が仰っていたらしいのですが、

RLは子供向けアニメの時間帯にやりながら、対象は初めから子供ではなく大人にしていたらしく、前2作のような少女マンガチックな要素がかなり少ないという違いがあります。

だからこそプリリズシリーズでは一番人気なのでしょうね。

 

 

 プリティーリズムシリーズを知らない方や「プリズムジャンプって 笑」という方はまず一作目 オーロラドリームの1話を観ると分かると思います。

最大の特徴は運動神経の良さはあまり関係ないということですね。

 

hitotsuka.hatenablog.com

 

 

 

最後に

女児向けアニメというとついつい敬遠してしまう人や「深夜アニメに敵うわけない」という先入観を持ってしまう人も少なくないでしょうね。

私も相当数深夜アニメを観てきましたが、このRLは今まで見てきた作品の中で1、2を争うレベルの名作だと断言できます。

なんせ一般的な深夜アニメの2〜4倍ものボリュームがある上、捨てる回がないと言われるほど緻密な作りになっていますからね。

 

ヒューマンドラマの項目の最初に書いたとおり、各キャラクターの人生が糸のように連綿しており、それが複雑に絡み合い、そして最後には1枚の美しい布となる。

とある人物の名前の由来にもなっているこの例えはまさにこの作品を説明するに相応しい言葉だと思います。

 

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

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⚠ネタバレ感想を含みます。

 

 

余談コーナー

結末について

32話の天羽ジュネのショーを観た時はこんなの勝てるのかと思いましたが、実際に勝負したのはりんねべるだけで主人公ではなかったのには驚いたのと同時に上手いなぁと思いましたね。

 

この手の作品って親や家系が偉大だったとか誰にも勝る潜在的な天賦の才を持っていて最終的には勝つといった展開が多く、『主人公補正』など興醒めすることを言われがちですよね。

この作品でも努力家の蓮城時べるが主人公 彩瀬なるについて「才能がある」と言及しており、結局勝つのかなぁと思っていたため非常に驚きました。

登場人物皆が主人公の作品だといわれている所以がよく分かりますね。

 

 

今作の採点方式

話は変わって今作の採点方式の件です。

正確には作品中の世界ではダンスや歌の精度やジャンプの難易度も大いに関係しているようなのですが…

視聴者としては同じ演目では毎回同じCGモーションなわけですから練度なんて分からないですし、ライブの勝敗にしても単純にどちらの演技が良かったなんて比較できないですからね。

 

そんな中、32話の天羽ジュネによるショーは圧倒的で思わず感動してしまいました。

まさにプリリズ3部作最後のラスボスに相応しい構成でしたね。それだけでADのストーリーを作ってしまうオーロラライジングを3連続目に使い、DMFでADの主人公 春音あいらが完成させた無限ハグ エターナルを使い、

キス→結婚→妊娠→出産

 

つまりジュネにとって望む愛を表現したのは素晴らしいとしか言いようがないです。

おまけにその中にある強い思いを感じ取ってしまうから思わず感動してしまうのですよね。

アニメやリアルを含め、歌やダンスでここまで感動したのは初めてかもしれません。

 

32話を観た段階ではなんか感動するという感想でしたが、49話における叶わぬ恋に対してそれでも抱いてしまう強い愛情がよく表現されおりなんだか泣きそうになりました。

 

一方で少し気になるのはプリズムジャンプの難易度と各ジャンプの普及率についてです。

AD、DMFの世界においてはオーロラライジングが基本的に最高難度の技とされていましたが、このRLの世界においてはどうなのでしょうね。

技をAD・DMFの世界に広めたのがジュネだとすれば、ジュネが飛べるのは当然なのですが、RLの世界では彼女以外に誰もこの技に挑戦していないのでしょうか?

あと無限ハグ エターナルはあいらオリジナル技がジュネに出来たのはプリズムワールドに情報が入っていたからでしょうか?

あるいはプリズムワールドに存在したからこそその技が現実世界に生まれたということなのでしょうか。

 

 

ジュネ様の髪型について

なんと言っても最初に見た時から気になって仕方がないのがジュネ様の髪型ですよね。 笑

作中では何故その髪型なのかは聞かないのが暗黙の了解らしいですが、実際にはどういう意味があるのでしょうか。

 

私が考えついたのは、「愛する氷室聖に母親のように認識してほしくはなかったから」ということです。

ジュネ様は作中でプリズムの使者として舞い降りた時に気になった、あるいは一目惚れしたの母 マリアに姿を似せることになります。

それはもちろん、マリアに似せることでの気を引きたいからなのですが、かといって母親と接するように慕われては困ります。

母親は当然恋愛対象になりませんからね。

 

ですから意図的に自分を強く印象づける、つまり全体像から注意をそらすためにあえて特徴的な髪型にしたのです。

そうすることでに無意識的には大好きだった母親の面影を感じさせて気を引きつつも、

意識的にはただ新たに出会った自分という存在自体を愛してもらえるようにしたのだと考えました。

現に髪を解いた姿は髪色以外はほとんどマリアにそっくりですよね。

 

にも関わらず、残念なことに結局朴念仁にはなかなか彼女の愛は伝わらなかったようですけどね。

 

 

優劣の明確さ

プリティーシリーズはプリパラ→プリチャン→プリリズと観ていった訳ですが、プリパラにおいては正直どちらが勝ったか納得できる要素が新曲であるかメイキングドラくらいしかなく、勝敗に納得できない視聴者も少なからずいたと思います。

 

プリリズではプリズムジャンプの難易度や連続ジャンプの回数という比較的明確な判断基準があったのが良かったです。

オーロラライジングを跳べば凄いし、何連続もジャンプすれば「勝ったな」と分かりますからね。

 

一方プリパラではどうして明確な判断基準を設けなかったのでしょうか。

1つはそもそもアイドル活動に優劣が付けづらいからで、もう1つは『みんなアイドル』という原則に反してしまうからではないでしょうか。

ランク付けがある以上優劣は存在しますが、

「これができないとダメ」という基準がなければそれに縛られることもなくみんながこの先の自分に期待できますし、なによりみんなが思い思いの理想のアイドルでいられます。

失敗しないでね

 

もちろんそんな『優しい世界』がずっと続くわけもなく…

となっていくのがプリパラの面白いところでもありますね。

やはりプリティーシリーズは面白い!