【虹ヶ咲】新規層と見る虹ヶ咲アニメの感想【6〜9話】
ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第1話「はじまりのトキメキ」 https://nico.ms/so37604089
初めに
9話までで各スクールアイドルの主役回がすべて終わりましたね。
振り返って評価が下がった回もあるとは思いますが、SNSや動画配信サイトなどを見る限り、全体としてはかなり評価が良いです。
そんな第6話〜9話を新規層の一人として振り返っていきたいと思います。
私自身、もはや新規層とは言えない立ち位置に入りつつはあるため、多少の身内びいきが入っている可能性があることをご了承ください。
スチルを貼りながら言うのもなんですが、キズナエピソードはまだ歩夢とせつ菜のものしか観ていません。
第6話
正直な所、第5話までの流れであまり期待していなかった分非常に面白かったです。
特に新規視聴者にとってはOPではボードを付け、普段はほとんど表情を動かさなかった理由が分かり、ボードの存在がプラスに捉えられる非常に良い回でしたね。
またMVも素晴らしいですよね。
基本的にライブ中はボードを付けて表情を作る訳ですが、これでは当然璃奈の顔が見られなくなってしまいます。
しかしそこはMVという特徴を活かし、間にボードを付けていない璃奈とのデートシーンを挟むことで、一度の視聴で二度美味しい仕上がりとなっています。
。詳しい話はチエルアルコおじさん(チエおじ)宜しくリナおじにお任せしますが、
基本ランキングでは下位常連だった天王寺璃奈を各主役回及びMVの総再生数共に1位を取るレベルに押し上げただけでも大変意味のある回だったと思います。
第7話
第6話で再び上がった評価を見事に維持することができ、かつ彼方の新たな一面を見ることができた良い回です。
冒頭で彼方を取り巻く環境を示しつつ、毎回眠そうにしていた原因が理解できるようになっているのは見事ですね。
また"Butterfly"に至るまでの流れが非常に美しいです。
彼方は貧しい母子家庭のため、家事やアルバイトをほぼ毎日して家族を支えながら、奨学生としての勉強やスクールアイドル活動にも熱心に取り組んでいます。
しかしその結果、彼方は疲労から急に眠ってしまうような状態に陥ってしまっていました。
当然、そんな姿を見てしまったら責任を感じてしまいますよね。
その後、遥は姉の負担を減らすためにスクールアイドル活動を辞めるという発言をするわけですが、
それに対する答えとして"Butterfly"が来るのですよね。
この"Butterfly"では蝶のように軽やかで優美な、大人の余裕が感じられる姿が映し出されています。
まるで遥が感じた彼方の重荷など存在しないかのようですよね。
どちらかが夢を諦めるのではなく、2人で困難を克服していこうという返事に、遥が流す涙もまた美しいです。
既存の3曲はどれもメルヘンチックで夢見がちな子どもといった印象を受けるものでしたが、
それに加えて今回はどんな苦労にも折れない大人らしさが感じられるものとなっており、彼方の新たな一面を知ることができる非常に素晴らしい曲です。
総合的にはかなり満足感のある回でした。
一方で第5話同様、話の主役以外を中心に据えたのはやや悪手だったように思います。
今回の場合、話の中心人物は遥であり、遥が起こした行動に対して彼方が反応していくという話の作りになっている都合上、彼方の内面があまり見えてこなかったです。
彼方の個性というのは、遥との相互関係上に成り立つのかもしれませんが、それでは遥がいなければ個性が上手く発揮できない事になってしまいます。
また、エマや愛ほどではないにせよ、彼方もやや親和性を感じづらい完璧人間として描かれてしまったのは惜しい気がします。
これはあくまで自分の「完璧人間に魅力を感じない」という主観の問題かもしれないです。
とはいえ、個人的には一番好きな回です。
第8話
かわいい
第6話以降順調ですよね。
第8話は良くも悪くもかなりふわっとした話だったように思います。
話の上手さで魅せるというよりは、小技を多く使うことによって繰り返し観ることでまた新たな発見ができるようになっています。
ことある毎に描かれる、演じている白と本音をハッキリと言う黒の会話シーンが各シーン毎のしずくの内面を映すだけでなく、実は終盤に上演される演劇の一部でもあったというのは上手かったですね。
また黒のしずくを演劇部部長が演じていたのもまた面白いです。
部長はしずくがいつも演じていることを知っており、本人が抑圧していた感情へと彼女を導来たかったのだと考えれば、本音を言う黒のしずくと状況的に重なります。
ちなみにこういったシーンは実際の演劇でも再現することができます。
見た目はネタばらしの通りで、声は予め録音した音声をスピーカーなどで流せばいいだけです。上手くやればスマホでも出来そうですね。
一方で「自分をさらけ出す」ことが出来なかったはずなのに、かすみが自分の存在を認めてくれると言っただけであっさりと出来るようになったことには納得がいかなかった人も少なくないのではないでしょうか。
「そんなに簡単に自分をさらけ出せるようになるなら苦労はしない」と考える人がいても何らおかしくはないです。
これに関しては、皆に好きになってもらいたいから演じている一方で、心の中では演じていては誰にも自分を認めてもらえないと思っていることからくる自己矛盾を解消してくれたから、
と考えるのが妥当でしょうか。いわばかすみの存在が反例となったのですね。
一種の自己催眠に近かったために解けるときも一瞬だったと見れば納得はできます。
推していた相手の許容できない欠点を見つけた時に気づいた途端、あっさりと興味を失ってしまうことがありますよね。それと同じです。
余談ですが、第7話において、遥が皆の前でスクールアイドル活動を辞めると言った時、なぜかしずくが発言の意図を理解できていないかのような質問をしていましたが、特に今回の話とは全く関係なかったですね。
ではよりにもよって彼方や遥と違って裕福な家庭に生まれ、スクールアイドルと演劇の掛け持ちという、彼方に似た状況のしずくがなぜそんな質問したのか気になって仕方がないです。
スクスタならともかく、脇役にもヘイトが向かわないように心がけているアニメにしては、
しずくが賤民の苦労が理解できない貴族かのように捉えられる恐れがあり、なんとも危ないシーンだったように思います。
もちろん掛け持ちすることを苦にも感じていないしずくにとっては、彼方と同じく遥が心配する理由が分からなかっただけなのだと捉えればおかしなシーンでもないです。
第9話
推し変リレーのアンカー
リレーのアンカーにふさわしい回でしたね。
今までは影の実力者のような立ち位置でしたが、第9話では方向音痴であることや、人並みに責任や不安を感じることが分かり、親近感を覚えた人も多いのではないでしょうか。
その他、今まで設定でしかなかったモデルとしての姿が見られたのも良かったです。
にしても果林がイベント出演者の一人に選ばれたのはどうしてなのでしょうね。
メタ的な読みはともかく、自分以外の人に投票する形式で全員が果林を選ぶというのはよく分かりません。
考えられるとすれば、果林が一番「仲間だけどライバル」を実践出来ていたからでしょうか。そうして果林が選ばれはしたものの、一人で大きな舞台に立つことに不安や責任を感じていました。
そんな時に「ライバル」である他の「仲間」がやってきて励ましてくれたことで、「ライバルだけど仲間」という考えに至る訳ですね。
そういう意味で、第9話は個人回を締めくくるにふさわしく、まさに虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会とはこういうものだ、と分かる良い回でした。
最後に
第9話まで通して、実は主役は中須かすみなのではないかと思うくらい存在感がありますよね。物語を作る上で扱いやすいキャラだからでしょうか。
各主役回を順に追っていきましたが、結局の所、既存のファンには好評な一方、新規視聴者にはイマイチ響かないという状況は変わらないように思います。
既存のファンに特に受けが良い理由は明白で、必ず賛否あるスクスタ本編が比較対象となるからです。
一方でそんな事情を知らない新規層にとっては、今の所あまり大きな波風が立つこともなく、平坦で当たり障りのなく、面白みに欠けるように感じてしまうかもしれませんね。
いわゆる日常系、百合系のアニメが好きな人にとっては楽しめるものですが、ラブライブが売りの一つにしているスポコン要素があまり見られないので、
いまいち多くの新規ファンを呼び込むことを目的にはしていないように思います。
アニメはあくまでスクスタ本編の焼き直しだと考えるのが妥当ですかね。
とはいえ、あと4話でどういう話を展開してくれるのか楽しみです。
そういえば、昔スクフェスをやった時に一番に気に入ったスクールアイドルが、実はCVのないキャラだと知ってがっかりした覚えがあります。
アニメにおいてもいわゆるスクフェスモブが度々現れているので、デレステのようにCVを付けてどんどんスクスタに追加していってくれると嬉しいです。
虹ヶ咲②があるのだから藤黄や他の学校の生徒も見てみたいものですね。
余談
全体を通してキャラ毎に文章量に大きな差がありますが、好き嫌いの差ではなく単に思いついていないだけです。なので気づいたことがあれば適宜書き足したり修正したりして行くと思います。
ところで、第9話のED手前の最後で侑が目を輝かせていたシーンがありましたよね。
侑のスクールアイドル化の伏線か?と期待したいところですが、
実際には虹ヶ咲に興味を持ってもらえたことが嬉しくなり、スクールアイドルの魅力を再確認したと言う所でしょうか。
あるいはもし仮にスクスタに追加されるとしても、問題なのは広い意味でのキャラクターのデザインです。
私を含め、アニメのキャラデザが好きな人には、侑が従来のキャラデザになるのはあまり好ましいことではありません。
侑に限らず、いわゆるアニガサキで好きになったキャラは、あるとしても2期や映画を含め、アニメ終了と共にいなくなってしまいます。
一応アニメ開始とほぼ同時にスクスタもプレイしてきはしましたが、
アニガサキに対する欠乏は、同じくアニガサキを繰り返し観ることでしか満たすことはできませんでした。
キャラデザも違えば個性も違い、おまけにアニメ主人公もいない訳ですから、スクスタとアニガサキを同質のものと捉えることは難しいです。
上手く軌道に乗ればほぼ永続的に好きなコンテンツに触れていられるのが魅力のソーシャルゲームですが、
現状スクスタはその要件を満たしておらず、虹ヶ咲というコンテンツへの新規層の長期的確保も難しいです。
あるいはアニメ化によって批判の的となっているスクスタ本編の再製作をしようとしているのかもしれませんが、
それでは尚の事スクスタをプレイする意義が感じられなくなります。
どのみち一過性のアニメを主軸に据えることは出来ないため、やはりスクスタを何とかするのがよさそうですね。
『ペーパーマリオ スーパーシール』のように、ゲームは権利関係や納期などが複雑になっているため、要望を送っても一朝一夕で変わるわけではありません。
長期的な目線で見るしかなさそうです。