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【虹ヶ咲】新規層と見る虹ヶ咲アニメの感想【1〜5話】

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ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第1話「はじまりのトキメキ」 https://nico.ms/so37604089

 
 

 

 

初めに

シリーズ第3作目にあたる虹ヶ咲では、過去2作とは違った試みをしている甲斐あってか、満を持して公開された第1話はファンにとって期待できる内容だったことでしょう。

既存のファンの中には、最近閉じコン化してしまって停滞気味だったラブライブ!シリーズに、再び新規ファンを呼び込んで盛り上げてくれることを期待している人も多いように思います。

 

今回はそんな虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のアニメ第1〜5話について、新規層の一人である私の視点で感想を述べていきたいと思います。

 

 

 

視聴動機

私は普段アイマスシリーズを楽しんでおり、

ラブライブシリーズに関しては、キャラクターデザインのギラつき具合と比較的評判の悪いラブライバーの印象から今まで敬遠していました。

そんな私が虹ヶ咲のアニメを観ようと思ったのは、キャラデザと着彩が今風になったからというのと、単に主人公が可愛いと思ったからです。

既存のファンにとってはラブライブ!の"らしさ"の1つにあのキャラデザと着彩があったようですが、ファン以外にはあまりウケが良いわけではなく、却って障害となってしまっていました。

それが今作で改善され、今風のあっさりとしたデザインへと変わったため、新規層の参入へのハードルが低くなりました。

また、既存の虹ヶ咲のキャラに対してあまり惹かれていなかった自分にとっては、新たなキャラとしての主人公の参加は大きかったように思います。

 

 

第1話

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第1話は新規層を呼ぶにはある程度十分に機能したように思います。

この層にとってはラブライブブランドだからという身内びいきはなく、単に話が面白いか、信頼して見続けられるものかどうかが大切だからです。

 

そんな中序盤に行われた優木せつ菜のライブでは、2D作画と3DCGの融合が非常に滑らかに行われており、

視聴者も主人公と同じような没入感を感じられるつくりになっていました。

加えて冒頭と終盤のパスケースの下りのように、今まで侑(主人公)の意見を優先していた歩夢が自分でスクールアイドルをやることを決める流れは非常に鮮やかでした。

また気になって見返すたびに細部の工夫が発見できて作り手の本気具合が伝わって安心して観られるなとも感じました。

こうした細かな工夫から、なんとなくで虹ヶ咲のアニメを観た人に興味を持たせることに成功したように思います。

 

歩夢の主役回としても非常に良かったです。

序盤の様子からは、侑に付いていくことで当たり障りのない安全な道だけを選んでいることが分かります。

しかしせつ菜のライブを転機に、今までは子どもっぽいと思って遠ざけてきたものと向き合い、少しずつ自分で道を切り開く決心が出来たのが良かったです。

メタ的には、あなた(侑)ありきのキャラではなくなるきっかけとなったのもまた良いですね。

 

 

第2話

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第1話の期待を受けてややハードルが高くなる中、続く第2話も期待通りの内容でした。

3話以降に通ずるせつ菜と旧スクールアイドル同好会との不和を描きつつも、かすみ自身の過ちをおのずと理解し、一回り成長してライブへ向かう流れは前回の歩夢とはやや異なるものであり、爽快感さえ感じました。

また歩夢に続いてかすみのソロライブも高クオリティな出来だったため、毎週の楽しみが生まれて期待値はさらに上がりました。

 

 

第3話

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3話からは良くも悪くも停滞気味に感じました。相変わらず第4話公開までに3〜5回視聴はしたのですが、どうも第1〜2話で感じたような精巧さに欠ける気がします。

 

私は1話見てなんとなくでスクスタ始めたおかげでせつ菜の背景を既に知っており、自分でストーリーを補完してある程度楽しむことができました。

しかしそういった例外を除けば、せつ菜(菜々)と母親との関係描写から出てくる「何かあるんだろうな」という想像と旧スクールアイドル同好会との不和しか情報がなく、

第1話のCHASE!からDIVE!に続く流れの意義は十分には伝わらなかったことでしょう。

 

せつ菜はCHASE!の歌詞とは裏腹に、親による娯楽趣味やスクールアイドルの禁止、またスクールアイドル同好会への義務感と失敗などからくる圧力によって、なりたい自分を我慢していました。

それが終盤の侑とのやり取りを通して解放されていくという流れを表現したいようですが、如何せん全体的に描写が弱かったです。

例えば実際に親と口論している描写や、趣味の物が見つかって捨てられるといった描写があればまた印象も変わっていたはずですが、それだと尺が一話に収まりません。

しかしせつ菜は他の部員と違って皆に通ずる立ち位置にいるのは明白なため、多少他より話数を取っても文句は言われないはずです。

ですので他の部員メイン回と並行して描写しつつ、スクールアイドルや趣味に対する感情の爆発をより盛大に見せた方が良かったように思います。

 

よく言えばスクスタで長々と10話かけてやっていたところを綺麗にまとめていたとも言えますが、そんなことは普通の新規層には分からないので薄味に感じた人が多かったのではないでしょうか。

 

ここで強く感動を得られるような人でなければ、同じ流れをあと6話分見続けるのはなかなかにハードルが高いです。

 

[追記(第9話終了後)]

振り返るとやはり『前同好会で上手くリードできなかった→やらなくていい』という話の展開がまずかったと思います。

これでは結局同好会に戻ることはできても、スクスタ本編のように、再度分裂の危機に瀕した際に主導的立場に立つことが難しくなってしまいます。

理想を言えば、『時に助け合い、高め合う関係丨前同好会で上手くリードできなかった過去』という矛盾を克服して成長して欲しかったです。

そうすれば強キャラからマスコットに成り下がることもなかったのではないでしょうか。

あるいは侑とのやり取りで克服したことになっているのかもしれませんが。

 

 

第4話

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今までは基本主人公である侑が何らかの形で関与することで各アイドルの成長を促すという流れでしたが、第4話では愛による自己解決に主眼が置かれました。

眉目秀麗・スポーツ万能、これで人柄もいいのですから完璧超人ですよね。

しかし実際問題、完璧な人ほどあまり惹かれないのではないでしょうか。完璧で自分からは遠いところにいる存在よりは、どこか抜けているような描写があった方が親近感が湧いて興味を持ってもらえるはずです。ギャグセンスが残念、というのは親近感を生む要因にはなりづらいですね。

そういうキャラだから、といえばその通りなのですが、それで新規ファンが付いてくるどうかはなんとも微妙なところです。

よく言えば、よく晴れた日の朝のような爽やかな話でした。

 

 

第5話

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個人的には第3~4話と比較して良い回だと感じましたが、5話の主役であるエマの内面を映すというよりは、親友の果林の悩みを解決する話になっていたことを考えれば、主役回としては物足りないように感じました。

 愛と同様、エマ自身には欠点はなく、キャラクターとしての深みが感じられたかどうかは大部分視聴者の想像力に委ねられる内容だったように思います。

例えばここからエマのことを天使のような慈愛に満ちた存在と捉えるか、あるいは既にエママと言われているように、母性を持った存在と捉えるかした人にとっては刺さるかもしれませんが、ややニッチなジャンルのため、新規ファンの獲得に成功したかは謎です。

エマの主役回と考えず、果林との関係を百合っぽい描写として楽しむものだったと考えれば新規層の視聴継続に一役買ったと思います。

まさにどこまでも続く平野のような話だったというべきでしょうか。あわよくばアルプス山脈にも登って欲しいものです。

 

 

新規が入ってくるには

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アニメを経て、ある程度の新規ファンが増えるのは確実ですが、アイドルコンテンツが増えた今、全盛期のような盛り上がりを見せるほどにファンが増えるとは思えません。

もし仮にアニメで火の付いた視聴者が出てきたとしても、その火を消さずに保存・増強させるための要素に欠けるからです。

 

ならば今あるコンテンツの良さをピックアップして紹介する必要があります。

新規ファンが入ってくるためにもスクスタのネガキャンをするだけでなく、新規視聴者の琴線に触れそうなスチルなどをSNSに挙げてアピールすると良いと思います。

私の場合はアニメ第1話を一度観た段階ではさほど気にもならなかったのですが、調べている時に偶然上の画像を見つけてしまい、なぜか衝動的にもっと知ってみたいと思うようになりました。

9人それぞれに1話ずつ主役回があるようですし、そこで少しでも引っかかるものがあれば新規ファンが増えてくれるかもしれませんね。

ただ基本的にオリジナルアニメの場合、キャラ集めに話数を取るのは得策ではありません。もちろんキャラの掘り下げは必要ですが、全員分終わったら次に進むという構成ではどうしても冗長に感じてしまいます。

ジャンルは違いますが、プラネット・ウィズのように第1~3話から大きな展開を見せつつ、その後ストーリーの流れの中で各キャラに注目していく形が理想的です。

しかし現状9話までは各アイドルの主役回に終始しそうなので、本アニメに飽きる前に誰かしらに興味を持つか、単純に百合っぽいアニメが好きで居続けてくれない限り、新規層は定着してくれそうにないですね。

シリーズ構成は既に決まっており、今後流れは変わらないため、アニメそのものの引き込み能力に期待するのは難しいでしょう。

 

 

最後に

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肝心の例のシーンを見たいがためにキズナを上げていきましたが、どうやらメインストーリーの15章10話でのイベントスチルだったようです。

メインストーリーは聞く限り不評のようですが、キズナ・サイドエピソードはキャラを好きになるには向いているため、新規層にはただ「スクスタはストーリーがつまらないから」と言わずにこちらを勧めるべきですね。

 

 

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ただこのプロジェクトが開始当初、アニメ化をせずにスクスタ一本でやっていくことを考えていたのであれば、単純に百合っぽい話にするのではなく、シャニマスのような光と影、裏と表を描いて強い惹きを生むような話にしていた方が良かったように思います。アイドルのことを考えて夜も眠れなくさせるのが理想ですね。

 

 

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虹ヶ咲アニメの話が来るまで、リリース時にダウンロードして1章だけやっていたことは完全に忘れていました。まあ内容はほとんど覚えていなかったので初見と変わりありません。 

ソーシャルゲームは長く続けられない性格ですが、少なくともコンテンツ自体を楽しむ境には入りました。

この手の後発参入組にとって最大の難点はファンの間で使われる内輪ネタが分からないことです。ラブライブ!のような声優とセットのコンテンツでは、肝心な生配信などの公式アーカイブが殆ど残っていないため、当然後追いして追いつくのは難しいです。

ましてやアニメ化をファンと勝ち取ったという流れを汲んでいるこの虹ヶ咲においてその過程を見られないことは新規層定着の障害になってしまいかねないです。

今後に期待したいところではありますが、そうこうしているうちに世代交代してしまいそうですね。

早いうちに手を打って、振り返り配信をより積極的に行ったり、よく話題に上がる回をアーカイブ化して自由に観られるようになったりしてくれるといいのですが……望み薄ですね。

 

ちなみにスクフェス公式、ファミ通、電撃の3か所に分かれて活動していた時の動画は今でも残っています。基本的な内容はゲームと四コマ漫画読みですが、興味があれば観てみてください。

 

 

 

余談

アニメからの新規層の受け入れ先になるはずのスクスタですが、果たしてうまく機能するのでしょうか。

先日始まったSeason2はさっそく賛否両論なようで、セレパラ(プリパラ2期後半に登場する組織)のようだとも言われているのをちらほら見ました。

一応ランジュのMVは見ましたが、ランジュにはセレパラ主催の紫京院ひびきにあった様な、視聴者にも分かるほどの強さとカリスマ性のようなものは感じませんでした。

またプリパラの方ではグループから離脱する理由も文字通り「より高みを目指したい」というものであり、残るメンバーもそれを後押しする形で展開していったため、いたずらに不安感を煽るだけではなく、話の面白さを加速させることにプラスに働いていたように思います。

それを鑑みるとスクスタSeason2は何とも不安な走りだしとなりましたが、虹ヶ咲に対する思いを強くしてくれる話になることを願います。

 

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