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【VTuber】結局何だったんだろうか

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※[6/2 追記]VTuberに対して過去を軽く振り返りつつやや否定的な話を展開します。ご了承ください。

 

 

 

 

初めに

皆さんは通称 VTuber ことバーチャルYouTuberをご存知でしょうか?
ご存知の方はいつ頃その存在を知り、動画や配信を見始めましたか?
 
恐らく見知った時期によって VTuber に対しての意識も違うのだろうなぁと思います。
 
 
 

初期の在り方

初期と言っても本当に初期のことではなく、VTuber がまだ指で数えられる程度しかいなかった時期のことです。
 
私が最初にバーチャルYouTuberを知ったのは2017年の春あたりに『エロマンガ先生』のニコニコ生放送番組でキズナアイさんの名前が言及されたときです。
当時は「本当にAIを作ってYouTuberをやらせているのかなぁ」と思っただけで、実際に見たのは11月のこの動画からです。
 
 
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別にそんなに昔と言う訳でもないのに懐かしいですね。
初めて見たときは本当にAIにゲーム実況させてみて、出来たセリフを声優に読ませるという面倒な作業をしているのかと勘違いしました 笑
 
同じように感じた人も少なくなかったので、とにかく当時はそれだけ『物珍しさ』があったということですね。
それから12月に入って爆発的にVTuber(というより当時はバーチャルYouTuber)が増えていったわけですが、
その時の私にはそれが大げさに言って『新たな光・希望』かのように思えました。
VTuber のすることはどれも新鮮に思えて楽しくて仕方がなかったです。
マーケティングの用語で言うブルーオーシャンの開拓ですね。
 
 

明け透けな物言いとの親和性

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落ち着いた声と可愛い3Dキャラで身も蓋もないことを言う様は今見ても面白いと思えますね。
登録者数100万人を超えるまでのキズナアイさんの動画はどれも面白かったです
これをそこらのYouTuberがやったとしても面白くはならないですが、
例えば国民的アイドルやスターがテレビでこんなことを言っていれば笑っちゃいますよね。
 
そんな画面の中のキャラクターなのに人間味に溢れた姿には、
遠いけど近く、キャラも可愛い&格好良いのに人のような暖かさがある。
そんなVTuber にはアイドルとも違った『スター性』があったように思います。
 
 

3D世界の広がり

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またキャラと中身のギャップだけでなくVRコンテンツを3D世界にいながらやるというのも面白いのですよね。
他にもPANORAの人との取材など3D空間、画面の中の世界の広がりを感じさせてくれるものも多かったです。
 
アニメやゲームの場合、当然私達は提示してくれる場所しか知りえません。
例えばアニメの舞台がずっと学校だけならば、
私達はその外に何があるかは分からない訳ですし、探りようもありません。
ですが VTuber の場合は現実には存在しないような多種多様なキャラクターがゲームの世界に行ったり、
それぞれの世界観を持った空間で過ごしたりと『どこまでも続く空間』を認識させてくれます。個人個人の創意工夫によって思いのままに広がりを見せる空間にはまさに『新たな光』が見え、それがまた冒険心をくすぐるので楽しくて仕方なかったのを覚えています。
 
 

優しい世界

初期のVTuber世界の最たる特徴は『優しい世界』です。
日常系アニメの形容詞としてよく使われる言葉ですが、当時はまさにこれが当てはまる状況でしたね。
今はもはや言われていないですが、VTuberのメリットとして、
『一般のアイドルと異なり、本人が何か不祥事を起こしてもVTuberキャラには何の影響もない』
というのが挙げられていました。
中の人がいた所でYUAさんのようなよほど有名な人でもなければ中の人バレというのもあまりありませんでした。
こういった理由からまるで滅菌室のように外部から守られた理想空間が築かれていました。
 
そういう状況を快く思わない人もいるでしょうけれども、2次元の、それも新興のVTuber世界くらいはそんな理想を追い求める場であることを望む人は多かったことでしょうし、
VTuber自身にもそうあろうとするキャラが多かったように思います。
 
 
 

理想の崩壊

それからのことはご存知の方も多いでしょう。
動画中心の体制から生配信中心に変わっていき、
中の人の日常生活をより色濃く反映するVTuber(別名︰VLiver)が増えていきました。
今では動画メインの方が珍しいです。
今までは『別世界の住人』だったのが、徐々に『身近にいそうな人』へと変わっていきました。
リアルタイムでの近況報告など、VTuberがより身近に感じられるのはメリットですが、その分ボロもでやすくなります。
初期には芸能活動の完成形かのように言われていたVTuberもスキャンダルばかり目立つ一般人へと変わっていきました。
 
 

問題が起きるのは悪か

別にスキャンダルが起きようがどうでもいい話です。例えば中の人同士が過度に逢瀬を重ねていようと勝手でしょう。
問題になるのはそれが公になることによって今まで作り上げてきたキャラクター像世界観が崩れ、更に無関係な他のVTuberにも波及してしまうことです。
VTuberが好まれていたのは『存在しないけど画面の向こう側には存在している人』だった為、それが崩れてしまえばその理想も消え去っていきます。
つまり『存在しない人』になってしまうわけです。
 
言ってみればキャラクターという仮面越しにデフォルメされた中の人を見るのがVTuberの在り方だった為、
キャラが消えてしまえば以前から言われていた通り『顔出しのニコニコ生放送』などと何ら相違ありません。
いわゆる生主がダメというわけではないです。
ただ求めているものが違うというだけです。
 
 

囲い込み漁的衰退

恐らくVTuberの理想にしがみついた人にとって良い逃げ場となったのが『.LIVE』だったと思います。
ここのVTuberは皆『電脳世界』という別世界の住人であり、その中の『アイドル部』は更に『学園に通う中高生』であるというキャラ設定を遵守していました。
まさに初期に皆が抱いた理想を維持していましたし、私も好んでよく見ていました。
 
しかしここでもご存知の通り問題が起きました。初期の滅菌室のような環境を好んでいたファンはこの件に過剰反応し、運営会社を支持する側と反対する側となって言い争いになりました。
私はこの事件そのもので嫌になったのではなく、この言い争いによってキャラ世界のメッキが剥がれ落ちてしまったことで敬遠するようになりました。
当時はまだ.LIVEの運営会社がVTuber界隈における大きな勢力の一つだったため、その影響も大きかったことでしょう。
以前は1万再生以上は当たり前だったニコニコ動画のアイドル部ファン動画も最近調べたら3桁行かないくらいにまで落ちぶれてしまっていました。
可哀想だとは思いますが、これからの発展は望めそうにありませんね。
 
 
 

最後に

もうVTuberの動画・配信を観なくなって4ヶ月が経ちました。
離れてみれば別にまた見に戻る気にもなれないですし、ただ時間を使うだけの娯楽だったように思え、
結局何だったんだろうなという気分です。
一瞬の希望を与えてくれた灯火のようなものだったのでしょうか。

多分私と同じくらいの時期に見始めた人にはもう見なくなった人もいることでしょう。なんだか物置に置かれた人形のように思えて物悲しさが残りますが、仕方ないですね。
 
私のような人のことをただ変化についていけなかった奴だと思っていただいても良いのですが、
最初はVTuberという新たな価値・世界が創出されたかのように言われていたのに今では内輪で楽しむだけのものに成り下がっています。
今後の広がりの芽を潰してしまって本当にいいのか?と思えてならないですね。