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【プラメモ】プラメモを観て思ったこと

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https://watch.amazon.co.jp/detail?asin=B01N10DIE7&territory=JP&ref_=share_ios_season&r=web

リンクはAmazon Primeのものです(※Prime対象ではないです)

 

 

 

初めに

世がバレンタインデーを楽しむ中、『プラスティック・メモリーズ』を観ていました。

多分放送当時に観ても何も響かなかったはずなので、今になってから見て良かったです。

プラメモは絶賛放映中の『恋する小惑星』を制作している動画工房によるオリジナル作品です。

動画工房は『ゆるゆり』のようなゆるいアニメを作っている印象があったので結構驚きでした。

ジブリの制作協力もしているそうです。

 

 

公式のあらすじ

現代より少し科学が進んだ世界。18歳の“水柿ツカサ”は、大学受験に失敗したものの、親のツテのおかげで世界的な大企業SAI社で働くことになった。

SAI社は、心を持った人型のアンドロイド、通称『ギフティア』を製造・管理する企業で、ツカサはその中でも、ターミナルサービスという部署に配属される。

だがそこは、寿命を迎えるギフティアを回収するのが業務という、いわゆる窓際部署。

しかもツカサは、お茶汲み係をしているギフティアの少女“アイラ”とコンビを組んで仕事をすることになってしまう…。

 

作品の特徴

ざっくりと言えばいわゆるアンドロイド(ロボット)と人間の恋愛モノなのですが、この作品の面白い所は、

『人間よりも先にアンドロイドが死ぬ』

という点です。

正確には死ぬわけではなく、

大体9年4ヶ月で人間を構成する上で必要な人格や記憶が消滅することになります。

 

珍しいですよね。

他にこの手のアニメで有名なものには『イブの時間』という映画がありますが、

あちらでは主の方がずっと先に居なくなりますし、アンドロイド差別や人間とアンドロイドの恋愛の是非が話題に上がりますが、

こちらではそんな話はほとんど聞くことはないです。

 

素敵な話ですので気になった方は是非ニコニコ動画で無料配信中の第一話を見てみてください。

プラスティック・メモリーズ #01 アニメ/動画 - ニコニコ動画

 

 

以下、ネタバレ要素を含みます

 

ギフティアについて

プラメモ世界でのアンドロイドの一つ、ギフティアはアルマと呼ばれる人口の心を持っており、人間と変わらないほどに感情豊かです。

それ以外の特徴として以下のものが挙げられます。

1.人間よりも身体能力が高く、リミッター解除をすればそれ以上になる

2.身体的成長はなく、寿命も短い(経年劣化あり)

3.あらゆる物事を記憶して忘れない

4.期限切れするとOSを入れ替えない限り記憶を失い、最悪暴れ回る(ワンダラー化)

 

どうにも設定矛盾を起こしているように思えませんか?

ギフティアは9年4ヶ月ほどで徐々に身体能力が低下していくにも関わらず、

OSを交換したり期限切れでワンダラーになると異常な身体能力を発揮するようになる。

 

恐らくそのような疑問を持たれた方もいると思いますが、これは人間でも同じことで、

①長年身体を酷使し続けたり事故に巻き込まれたりすると身体組織が弱る場合

②脳が劣化して弱る場合

この2種類があり、体が健常でも脳が衰えると身体動作に関する記憶を失っていき、それに伴い身体能力も低下します。

流石に老眼に関しては分からないですが、同じようなことがギフティアにも起こるために経年劣化すると考えられます。

 

その一方でワンダラー化すると身体能力が向上して自我も失うようです。

身体機能のポテンシャルは①依存なのでおかしくもないですが、自我を失い暴走する点は少し疑問が残ります。

 

ワンダラーについて

作中4,5話を通して遠回しに「期限切れ直前で逃げても無駄だ」と言うことを伝えるために登場した『ワンダラー』という概念ですが、

どうも作為的なものを感じます。

 

ワンダラー化自体については上で挙げた特徴3『ギフティアはあらゆる物事を記憶して忘れない』によって説明がつきます。

 

人間がもし五感で得た情報を全て完璧に記憶できるとしたら脳はすぐに溢れてしまいます。

この全記憶が可能なギフティアは9年4ヶ月の間あらゆるものを記憶した果てにオーバーフローするのでしょう。

ともすれば脳内のデータにでたらめな値が放り込まれて暴走することもありえます。

⚠ワンダラー化はそんなに起こることではないそうです。

 

この世界で言うOSはオペレーティングシステムだけでなくメモリのことも指すのでしょうね。

 

ですがそんな危険性のあるギフティアが果たして普及し得るのでしょうか。

物語開始からおよそ20年前にギフティアが世に出回り始めたとすると、最低でも10年前からそういった苦情やリコールがあってもおかしくないです。

 

これに関しては、

❶そもそも期間切れ前に回収されるのがほとんど

❷ワンダラー化自体があまり起こることではない(過去の事例が3年前)

ことから、主人公のように知らない人がほとんどで、仮に知っていてもなおギフティアが欲しいと思う客が多いからですかね。

 

 

作中のワンダラー化事例はどれも消えてゆく記憶に残る大切な人物を強く想起するか、自己防衛しなければならない状況で起きています。

と言っても2件のみですが。

 

つまり期限切れを迎えて記憶を始めとした機能にボロが出ているまさにその時にそういった機能を呼び出してしまうことで暴走してしまうのではないでしょうか。

だからワンダラー化の端緒がなければ問題なく終わりを迎えるために事例が少なく知られていない。

 

ならセーフティでもつけろよと言いたいところですが、これに関してはよく分かりません。

と言っても作中に出てくる回収対象は9年前に出回ったわけで、それ以前に何事も起こらなければセーフティ機能がなくてもおかしくはないです。

まぁここはファンタジーモノだから、という理由でいいんじゃないですかね。

 

「ファンタジーだから」という理由を嫌う人もいると思いますが、ギフティアのOSの機能自体明らかなオーバーテクノロジーですし、

作っている側(SAI社)でも分からない、改善できないことがあっても不思議ではないです。

 

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まとめ

わざわざ数年前に議論されたであろう物事を書く必要もなく、またVitaのゲームでより詳しく解説されていることもあると思いますが、

ここで長ったらしくも言いたかったのは、

「設定が破綻」や「作者はそんなことまで考えてない」などとドヤ顔で言い切るのは簡単だけどしっかり考えてみるとより世界が広がって楽しめるということです。

 

どんな有名な小説だろうとアニメだろうと何もかも基本は『未完成品』で、それを読んだり見たりして考えることで『完成品』になるんです。

夏目漱石の『こころ』だって登場人物の行動理由の説明は様々で、必ずしもこれが正しいと言えるものではないですから。

『こころ』を同性愛の話だとする人もいるくらいです。

 

展開が読めるとつまらない?

にしても放送当時の感想なんかを読むと、結末が分かることを毛嫌いする人が多いですね。

「アニメを長年見てきているからこういうのは展開が読めてつまらん」

とでも言いたいのでしょうけれど、スタートとゴールが決まっていても、その道程が同じだとは限らないですよね。

 

例えば、

人が医者になるとして、それまでにどんな人生を歩むかは人それぞれです。

身内を病気でなくしているかもしれませんし、親が医者だったり教育熱心な親だったりして圧力をかけているかもしれません。

あるいは入試に一発合格してエリート街道を進むものもいれば、社会人になってからもなお諦めきれず再び受験し直す人もいるかもしれません。

 

こんな感じで、結末は同じでもそれまでの展開が同じだとは限らないんです。

これはアニメでも同じことで、長年みているというのであれば、なおのこと分かっているはずなのですけどね。

どんでん返しからの予想だにしない結末も良いですが、私達視聴者はその過程をこそ楽しみにするべきなのですから。

 

無駄に理屈っぽく考えて肝心な娯楽を台無しにしてしまうのは自分にもよくある事ですが、

もっともらしい理由をつけて勝手に納得していた方が世の中の物事をより良く楽しめますね。